「老人」(リルケ)
暗闇に一瞬、温かく優しい光が差し込む 「老人」(リルケ/森鷗外訳)(「百年文庫033 月」)ポプラ社 ペエテル・ニコラスは七十五になって、いろんな事を忘れてしまった。昔の悲しかった事や嬉しかった事、それから週、月、年と云...
暗闇に一瞬、温かく優しい光が差し込む 「老人」(リルケ/森鷗外訳)(「百年文庫033 月」)ポプラ社 ペエテル・ニコラスは七十五になって、いろんな事を忘れてしまった。昔の悲しかった事や嬉しかった事、それから週、月、年と云...
ぜひ復刊してほしい、魅力あふれる一冊 「森鷗外全集5」(森鷗外)ちくま文庫 「大塩平八郎」策の施すべきものが無い。しかし理を以て推せば、これが人世必然の勢だとして旁看するか、町奉行以下諸役人や市中の富豪に進んで救済の法を...
問題となるのは「他国侵逼難」 「日蓮聖人辻説法」(森鷗外)(「森鷗外全集5」)ちくま文庫 進士善春と妙は愛し合っているが、日蓮を敵視している善春との仲を、妙の父・比企能本は認めない。善春は辻説法を行う日蓮に対し禅問答を挑...
佐代が未来に望んでいた「何物か」とは? 「安井夫人」(森鷗外)(「森鷗外全集5」)ちくま文庫 背が低く色黒で醜男かつ片眼の仲平に嫁を取らそうと、父・滄洲翁が目を付けたのは、仲平の従妹にあたる二十になるお豊であった。お豊は...
なぜこのような軍国主義的展開に? 「玉篋両浦嶼」(森鷗外)(「森鷗外全集5」)ちくま文庫 竜宮で暮らす浦島太郎は、地上の夢を見たことにより、眠っていた人間としての血が騒ぎ出す。ついには乙姫に別れを告げ、地上へ舞い戻る決心...
感染症の時代をしたたかに生き抜くために 「仮面」(森鷗外)(「森鷗外全集5」)ちくま文庫 医学博士・杉村のもとに、医学生・山口栞の姉が訪ねてくる。検査結果について「結核ではあるまいか」と不安に思ってのことだった。杉村が心...
では、鷗外は女性を差別していたのか? 「魚玄機」(森鷗外)(「森鷗外全集5」)ちくま文庫 器量のよい少年・陳と逢瀬を重ねていた美人女性詩人・魚玄機は、陳が自分よりも醜く何の才能もない使用人・緑翹と思いを通わせているのでは...
鷗外が何を言いたいのかよくわからないでいる 「山椒大夫」(森鷗外)(「森鷗外全集5」)ちくま文庫 「山椒大夫」(森鷗外)(「山椒大夫・高瀬舟」)新潮文庫 父親を訪ねての旅の途中に、一家は人買いに騙され、幼い安寿と厨子王の...
大正期にこのような魅力的な文学が生まれていた 「日本文学100年の名作第1巻 夢見る部屋」新潮文庫 「父親」(荒畑寒村)息子・孝次から移転の知らせを受け取った父親は、久しぶりに会おうと汽車に乗る。まだ若かった頃、...
まずはこの一作から読め!~明治・大正の短編集 以前も書きました。長編小説には長編小説の魅力がありますが、短編には短編のおもしろさがあります。日本語を噛みしめながら読みたい明治・大正期の短編小説集8冊をセレクトしました。 ...